Capital Mortgage Guarantee Co.,Ltd.

会社概要

商号
  • キャピタル信用保証株式会社
  • 100-0005
  • 東京都千代田区丸の内1丁目6番2号
  • 新丸の内センタービル21階(銀行協会ビル建替えのため移りました。)
  • 設立 平成14年8月29日
取引銀行
東京三菱銀行新丸の内支店
業種
  • 住宅関連保証
  • 住宅型ノンリコースローンの開発
  • 保険数理計算業務
会社の特徴
・当社は日本の非収益型ノンリコースローン保証のパイオニアです。賃貸用物件を対象とした収益型ノンリコースローン保証とは異なります
・当社は金融・保険・リスクマネージメントの専門会社です。関連して再生可能エネルギー事業の実現可能性評価(FeasibilityStudy)、リスクマネジメント、リスク回避のエスクロー保証をいたします。
役員
代表取締役社長
山口裕司(元生命保険会社)
専務取締役
松本治男(元保証会社)     
取締役
関口京子(企画会社代表)   
監査役
伊藤和行(税理士)
関連会社
デューデリジェンスの建物診断評価センター  http://www.tatemonoshindan.co.jp
IT統制研究所  http://www.itlabo.org
日本経営数理コンサルテイング株式会社 http://www.e-jmac.com
数理経営ソフト開発のエヌシーエル株式会社
特記事項
  1. 住宅型ノンリコースローン保証についての条件付即時無税償却措置の承認済
  2. 住宅型ノンリコースローン保証システムのビジネスモデル特許公開中


― リスク管理のむずかしさ ―


  日本の金融機関のサブプライムに端を発する損失は当初然程ではないという話であった。しかし今になって数千億からの資本増強が必要という。 もともと欧米に比べればその被害は確かに少なかった。しかし、それは日本のリスク管理がうまくいっていたというわけではない。 バーゼルUにより、デリバティブの保有が低下したからに他ならない。


  これまで日本の銀行は大変な時間と資金とを投入してバーゼルT、バーゼルUへの対応をこなし、内部管理、内部統制のもとに銀行検査マニュアル、 監督指針にと大変なエネルギーを消費してきた。特にリスク管理については特段に力を注いできた。信用リスクからオペレーショナルリスクに至るまで 第一に顧客のため、株主のため、あらゆるステークホルダーのためにそして国として国際的な信用を維持するためにも多くの智慧と資金をつぎ込んできた。

  にも拘らずである。「芝で稼いで筏で流す」とはこのことである。現場で一生懸命に経費節減をしながら一方で一挙に数百億、数千億円という 単位でドブに流している。いかにリスク管理が困難であるかが証明されたわけである。


  しかし、今回のサブプライムによるCDOにしろCDSに発する金融危機にしろ、実は早くからその兆候が見られていた。BISにおいてもバーゼルUの後、 FSF(金融安定化フォーラム)においてすでにその危険な兆候をつかみ、新たな資本増強へ向けた自己資本比率規制や証券化の透明性の確保、 格付けの見直し等の議論がなされ、今年の4月にその提言が出ているとおりだ。なかでも今、特に格付けが問題となっているが、 CDOの格付けがどのようにされていたかは周知の事実であり、06年半ばからの住宅価格下落と格付けの点に注目していればCDO被害などには 一切無関係にあったはずである。


  CDOの格付けは、サブプライムローンをFICOスコア(個人信用評点)やLTV(借入対担保比率)、DTI(返済対収入比率) などによりランクを付け、上位をRMBSとし、下位をさらに数理的手法で分類し、その上位クラスといっても殆どをCDOとして 再証券化の優良証券としている。つまり、サブプライムローンは証券化でその殆どが優良証券に生まれ変わってしまっているのである。 ここには社債などで行う原資産の個別調査は行われず、統計的処理によって決めてしまうので、精度においては元々相当にラフなものといえる。 住宅バブル崩壊であわてて格付けを下げたが、もともと原資産の担保評価などは行われないから、崩壊するまで全く注目されずにいいかげんな 格付けだけが通用してしまった。


  経営者は米国の住宅バブルが危なくなっていずれは崩壊するであろうと言われ始めたときに、RMBSの格付けが下がることは容易に想像 できたと思うが、リスク管理体制のもとに適切な対応が取れなかったのだろうか。たしかに格付け手法には問題があるが、 それは多分に精度の問題であって、それ以前に、格付けという他人任せではなく経営という目でリスクを感じるとることが重要ではなかったか。


  複雑化する金融取引にリスク管理が追いつかないという面はあるかもしれないし、ある程度のリスクをとらないとリターンがとれない 経営の中では、時にはこうした場面も止むを得ないということかもしれないが、やはり今回のようにリスクの芽を見過ごしてきた過ちは拭えないだろう。

  せっかく証券化やSIVの活用でリスクのオフバランス化を進める一方で、リスクの塊のような証券化商品をオンバランスしてしまう愚をおこな うなど、経営の難しさが一挙に露呈した感がある。

  「木を見て森を見ず」リスク管理の重要性を改めて認識したい。
   (2008.11.16 山口裕司)

― いまこそ、信用保証会社を見直すとき ―


 今次の大金融危機の発端は云うまでもなくサブプライム問題である。 サブプライムローンは証券化され更に再証券化されて、 そのビールスが世界中に拡散され、さらにレバレッヂがマイナスに大きく作用したことによるものである。なぜ、サブプライムローンなどという 商品が出来上がったのか、これは米国の住宅金融のシステムの問題でもある。以下、住宅ローンの保証と証券化証券の保証とを区別して読んでいただきたい。

 サブプライムローンは住宅販売がピークを迎え、モゲージブローカーやモゲージバンクがローンを売りたいために考え出したものであり、 このような欠陥商品がなんのブレーキもなく商品化されたのは日本と異なる住宅金融のためである。

 ここで米国の証券化の仕組みを述べておくと、住宅ローンはサブプライムローンとプライムローン、政府保証ローンとに分かれるが、 (実際には更にジャンボローンとオールタナティブローンに分類されるが)サブプライムローンだけが他と異なる。 サブプライムローンはモゲージバンクが金融機関から資金を借りてローンを貸付け更にその証券化も行う。サブプライムローン以外の証券化には ファニーメイ、フレディマックのGSEや政府機関のジニーメイが係わり、それらが買取りあるいは保証をして証券化を行うからサブプライムローンの証券化とは 信用度が全く違っていた。しかし、サブプライムローンのためにプライムローンの担保価値まで急落しGSEの資産は大きく傷むこととなった。

 米国には金融の保証や債券の保証会社は多いが住宅ローンの保証はほんの一部だけで、多くの個別のローンに保証は殆ど機能していない。 つまり代位弁済機能がついていない。というよりも、モゲージローンの特徴として証券化したときに、抵当権もオリジネータから移転してしまうために 代位弁済機能がない。 個々の保険としては住宅ローン保険会社というものもあるが、これは頭金が20%に満たない契約に対して頭の部分に保険を掛け、 その保険金支払は元本の30%未満でありわずかな損害補填の意味でしかなく保証機能はない。ローンの保証機能とは代位弁済して求償権を取得し、 また、その随伴性により証券化されてもその機能を失わないことである。

 また、モノラインという保証保険会社が全米に13社ほどあっていま信用不安に曝されているが、この会社は住宅ローン保証には関係がない。 主に政府債、地方債、あるいはプロジェクトに対する保証(一括弁済でなく期日履行保証)をおこなっており、今度の問題ではサブプライムの混入する CDOの保証をしていたために大きな影響があった。

 一方、日本の場合にはローン保証の信用保証会社がサブプライムローンのようなデフォルトリスクの高いローン商品には保証をせず、ここでブレーキがかかる。 この点がまず大きな違いである。米国の場合、極く早期のデフォルトについてはオリジネータが買い戻さなければならないが、それ以外は証券化されてしまい、 オリジネータの手から離れ、GSE等証券の保証機関や投資家のリスクに転嫁されることになる。ここにもし信用保証会社が介在していれば、 サブプライムローンなどは扱われることはなく、政府系の証券の保証と保証会社の個々のローン保証付きで証券化されることになるので、 今回のような問題はおこりにくいことになる。

 日本の保証会社は殆どが金融機関の子会社であるために、金融機関自身の保証にはなり得ないが、証券化されたときには証券の格付けは上がることになり、 再証券化されても理屈の上では問題はないといえる。しかし、日本の場合も全く問題がないわけではない。住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の場合、 米国と若干機能が異なるモゲージバンクが多く介在している。ここにはローン保証はついていない。デフォルトがおきるとモゲージバンクが債権回収を おこなうがままならず、代位弁済機能がないために機構の収支が傷むことになる。旧住宅金融公庫の不良債権が3兆円にも達しているのは 偏にローン保証会社が介在しないことによるものである。
 日本も米国も今一度独立系信用保証会社の重要性の認識をする必要があるのではないか。 (2008.10.16)


−この危機的住宅金融問題は日本でも起こりうることかー


モゲージローンと証券化

 世界金融を根底から揺さぶった今回の金融危機の背景には米国の住宅金融のあり方におおきな問題があった。しかし日本での住宅金融は証券化商品の 被害こそあったが、きわめて軽微であった。米国と日本の住宅金融の違いはなにか。日本で同様のリスクはないのか。

 米国の住宅金融はモゲージローンと証券化という構成で日本とは大きく異なる。この組み合わせの矛盾が今回の金融危機のもうひとつの要因でもある。 モゲージローンは住宅のみが担保であるが、今回、デフォルトの腹いせに住宅を毀損して退去するという事例が出てきて、このことが担保の下落を加速させる 引き金となり、住宅金融市場の混乱と破壊を招く結果となったことは見過ごせない。これはモゲージローンというノンリコースローンのおおきな欠点だといえる。 ノンリコースは購入者にとってはいい仕組みだが、担保保全に関してはかなり脆弱な方式だ。特に米国の場合には。  

 これは住宅が値上がりしている状況ではあまり問題にはならないが、そうでない場合担保価値の下落に輪をかけることになり、 今回、デフォルトの起こりやすいサブプライムローンと相俟って一気にそのリスクが顕在化し拡散した。

 わたしどもが日本にノンリコースを導入しようと考えたときにこの問題に気づき、この矛盾を解決すべく日本型ノンリコースローンを開発することとなった。
米の場合、組成したローンをすぐに証券化してリスクを公社や投資家に移してしまうので、住宅購入者の審査がかなり甘くなることと同時に、 売りやすいがデフォルトの起こりやすいサブプライムローンなどの商品を容易に販売することになる。一方、日本の場合には、リコースローンであるために 購入者は担保の毀損や賃貸といった担保価値を減らす行為にブレーキがかかっているうえ、商品自体も証券にリスクを移転しないためにサブプライムローンのような リスクを抱え込む商品が売られることはない。また、証券化はリスク移転という意味はあるが、金融機関にとってはほとんど手数料商売となってしまうので うまみがない。むしろ資金のグループ内留保とグループ内リスク分散という日本の大手金融機関のスキームが幸いしている。こうしたモゲージローンと 証券化という点で日米住宅金融に大きな相違があるために、今回の住宅ローンに起因する金融危機のような状況は日本では起こりにくい現象だといえる。 ただ、気をつけなければならないのは旧住宅金融公庫の不良債権が3兆を超えて政府系金融機関として最高という点である。住宅金融支援機構に衣替えして フラット35が伸びているが、ここへは新興のモゲージ会社が介在しておりどこまでリスクが回避できているかである。 米国の轍を踏まないように見守っていかなければならない。

 これからの新しい住宅金融のあり方としては、独立系の保証会社の利用にある。保証会社は自らのリスク低減のために、いい加減な商品を抑制する立場にあり、 サブプライムローンのような商品の販売には繋がらない。また、いずれ日本でも証券化が進むであろうが、保証の随伴性によって証券にもその効果が及び、 証券の格付けを高めることとなる。また、リスクの外部移転効果をもたらすと同時に金利リスクからも開放されることになる。

 今この時期、日本の住宅金融の将来のためにその構造を見直すいい機会だと思う。 (2008.09.23 山口裕司)


金融危機と保証と金融モラル


 今回の金融危機は米国が90年代のIT景気から21世紀の住宅景気に移行するなかで、世界から資金を集め米国経済を支えてきたことの終焉といえる。 2005年頃に住宅販売のピークが見え、モゲージブローカーがその収益源を求めるため、これまで貸せなかった低所得者にサブプライムローンを供給し、 それを多重に証券化したために世界中にそれが拡散し、借り手のデフォルトが多発するに及んで証券化商品(MBS)とその組み込み商品(CDO)の問題が発覚した。 デフォルトの多発により住宅市場は混乱し住宅価格が下がることとなり担保は急速に目減りした。このことが証券の保証公社・保険会社に、 更に金融機関に及んだという構図になる。

ここでいう保証・保険会社は証券化商品の利払い等償還保証であり、日本でのローンの個人信用保証とは異なる。米では住宅ローンの個人の保証を 日本のような保証会社が受けることは少ない。介在しても多くの場合保険会社だ。日本では金融機関が保険会社を使うとすると、損害額を確定するのは金融機関側であり、 損害を確定するのに相当の時間がかかる。リコースローンではとくにそうだ。これは金融機関にとって困る。そこで代位弁済により直ちに全額回収できる 保証会社を利用することになる。保証会社は債権を受けついで求償権を時間をかけて行使する。しかし、米国の住宅金融機関は債権をすぐに証券化して リスクを移転してしまうので、保険も保証もない。あとは証券に対して公社なり保険会社の保証がつけられることになる。

米でも代位弁済をおこなうモノラインという保証会社があるが、ここでは一般に一時金による代位弁済でなく、元債務と同様の分割支払いによるものである。 利用も政府系債券や地方債、あるいは大きなプロジェクト融資に対しての限定的保証機関である。

 ところで、今回これまであまり注目されたことのない住宅金融に大きな関心がもたれた。そしてさまざまな問題点が明らかになり多くの矛盾が 露呈されることとなった。そのひとつは証券化であるが、日本では住宅ローンの証券化は非常に少ない。ようやく住宅金融支援機構のフラット35が 動き出してはいるが、米国のファニーメイ、フレディマックのような公社とは程遠い。
 米国にはもうひとつジニーメイという政府住宅保証機関がある。前2社は元々公的機関だったが民営化されている。ジニーメイは民営化されていない政府機関で リスクの少ない連邦住宅局の保証付住宅ローンの買取をおこなっているのであまり心配はないようだ。

 今回米国では住宅金融機関の破綻より先に、大手証券会社の破綻が早かった。金融機関は預金という裏付があり、短期資金の流動性が証券会社より高いので 比較的持ちこたえられる。一方証券会社は本来キャッシュフローがほとんどないから、金融機関等からの資金注入がないと、途端に破綻をむかえることになる。 しかし、銀行についてもこれから少しずつ資産の目減りによるボディブローが利いてくる。日本がかつて公的資金を注入したように、米国が資金注入をおこなう こととなるとその額は莫大である。いずれ日本もその一部を負担することとなる。

 日本の住宅金融に問題はないかといえば今回の米の住宅金融のような直接的な懸念材料はない。もちろん住宅ローン自体の大問題があることはあるが、 金融危機に繋がるはなしではない。 今回の住宅金融に端を発し金融危機を招いたのはサブプライムローンというインチキ商品とその証券化が何のブレーキもなく、また、米国の格付会社という これまた根拠のない商売が結びついて行われたものであり、米国の金融モラルの低下がその背景にある。  (2008年9月 山口裕司)

日本の金融機関にとってもっと怖い話



 これは金融機関というより世界の金融にとってというべきだろう。ファニーメイとフレディマックの問題である。共にGSEでつぶれる心配はないと 思っていたが、俄かに債務超過の危険が発覚している。一応公的資金の注入を可能にする法案で対処した。がしかしである。日本でもトリプルAの長銀や 日債銀がつぶれたではないか。ファニーメイとフレディマックはいずれもサブプライムローンに端を発した住宅市場の暴落によって損失を拡大しつつあり、 既に株価は大きく暴落している。サブプライムの場合にはローン市場全体の1割未満の影響といわれているが、住宅価格の暴落は上位ローンのオルトAから プライム、ジャンボに及んできており、証券化の原資産である住宅ローンのデフォルトが増え続けるとその評価損は莫大となる。

 米政府は両公社の自己資本の水準は健全な状態と強調しているが、住宅価格の下落が続けばこれによる格下げ、更なる株価下落、債券暴落が起きることになる。 両公社の社債やローン担保証券、また外債投資信託が世界中に拡散されており、その影響はサブプライムの比ではない。

 (2008.7.29)

実は日本の金融機関も危ない。



アメリカの住宅関連の金融機関が危機を迎えている。 しかしアメリカの場合にはローンのリスクを外部移転しており、多くの金融機関はまだ安全圏内にある。それは、多くの住宅ローン債権は証券化されてかなりの 部分のリスクを回避しているからである。リスクの移転先は主に保険会社やフレディマックやファニーメイという連邦住宅抵当公社である。しかも公社は今、 株式会社ではあるが政府支援機関(GSE)である。
 日本の場合は住宅の証券化はまだ始まったばかりということもあるが、多くの金融機関は証券化せず、子会社の信用保証会社にリスクを移転している。 子会社へのリスク移転などは全く意味をなさないことはご承知のとおりであるが。 保証会社はデフォルトが発生しても担保により債権を回収できれば問題はない。 それは、かつての不動産バブルのように住宅価格が上昇している時期ならば回収は可能である。しかし、今のような時代、これから先も住宅バブルがくることは 全く期待できない。 それならば、住宅の査定をしっかりやればよいか。それは貸付の基本でありリスク回避の一つであるが、現行ではそうした根拠のある査定は行われていない。

 アメリカの場合は全米の物件調査会社があるから、ある程度客観的な査定が行われている。 もうひとつの大問題は担保力の明らかに不足している物件に対して100%あるいはそれ以上の貸付がなされていることである。不動産の値上がりが期待できないで、 80%を超える貸し出しは極めて危険である。アメリカでは80%を超える部分には特別な保険を義務付けているが、日本ではこうした頭金のない危険な貸し出し が多く、住宅を買うのに先ず頭金を蓄えるという習慣に乏しい。頭金を貯める段階でほんとうにローンが払えるかが自分で判断できる。 その上でローンを組むというまじめな取組姿勢が大切であり、今のようにとにかく借りてしまえという風潮は金融機関にとっても、消費者にとっても 健全な経済行動とはいえない。

 日本でのこうした危険な貸し出しの横行は、問題のアメリカの住宅ローンブローカーと何等変わりがない。アメリカの場合にはローンを証券化して売って しまえば、リスクを回避できるが、日本の場合は殆ど自行内でリスクを抱えているから極めてあぶない。従って、日本の場合、金融機関の審査は厳しくしなければ ならないにも拘わらず、担保に対する評価が甘い。その甘さはどこからくるかといえば、ご承知のように日本の住宅ローンは住宅が担保にはなっているとは いっても最終的には人的担保になっているからであり、住宅担保で不足すれば他の財産から回収できると思っている。それはその対象がサラリーマンであり、 サラリーマンは終身雇用で安定しているという前提があったからにほかならない。 しかし、昨今そうした前提は殆ど無効であるということに気が付けば、銀行の長期融資の姿勢は大きく変わらざるを得ない。

 いま、金融機関の経営上でなすべき問題は多いが、利用者保護と同時にリスクの外部移転が喫緊の問題である。このことはすでに10数年前にバーゼル委員会 で言い始めたことであるが、こと住宅ローンに関しては一向に改善されていない。金融庁も監督指針において繰り返し指導しているところだが、未だに、 住宅ローンのホームページ資料では「保証人不要、子会社の保証会社の保証が必要」と書いているところがある。このことは大蔵省時代から明確に、 「自行の保証子会社に誘導してはならない」という基本方針があるにも拘わらずである。 こういうことからアメリカの住宅関連の金融機関よりもむしろ日本の金融機関のほうが危ない状況にあるといわざるを得ない。 (2008.7.25)

日米の住宅ローンの違い

 アメリカの住宅ローンの多くはMortgageLoanです。これは住宅のみを担保としたローンです。
日本の住宅ローンは住宅を担保とした人的担保(個人の与信)ローンです。これがリコースローンです。 住宅ローンを支払えなくなった(デフォルト)債務者はアメリカの場合担保が住宅ですから、住宅を手放せば債務 から開放されます。

日本の場合にはデフォルトを起こすと先ず、担保の住宅を処分します。 処分の仕方は任意売却と競売による方法があります。抵当権に基づく競売で競売後まだ債務が残る場合に、 債権者には債務名義(強制執行ができる公の文書)は ありませんが請求権はあります。
通常、債権者である 保証会社は金額にもよりますが、改めて債務名義を取得して請求権を行使するか、請求権放棄し償却とするか、サービサーに売却 するかの選択をします。売却を受けたサービサーは残債務の全額ではありませんが、債務者に返済を求めることに なります。
 一方、任意売却の場合一般に競売より高く処分できます。しかし売却してもなお債務が残ると保証 会社は回収をはかります。そのためまず公正証書を組むよう努力します。強制執行できるからです。 しかし多くの場合回収できません。保証会社がそのような手続をふむのは それは税務署が無税償却をすぐには認めないからです。税務署は任意売却の残債権を回収可能債権と考えているからです。

 アメリカのこの度のサブプライム問題ではローン利用者のモラルの問題が露呈しました。デフォルトを起した 債務者は腹いせに住宅を損傷させて出て行くケースが多く見られました。 住宅さえ渡してしまえば債務者は債務から開放されるからです。しかし金融機関は住宅を再販する について多くの損害をこうむることとなりました。これは、ノンリコースローンの最大の問題です。
 日本の場合には債務者が担保価値を低減させるような行為に出れば、人的担保ですから残債務の負担が増え 債務者自身困ることになります。 従って日本の現行リコースローン方式はアメリカのようなモラルリスクを未然に防いでいるのです。しかし元々善意の 債務者にとって 現行の日本のローン制度はどう考えても納得のいかないものです。
そこで生まれたのが、新しい日本型ノンリコース ローンなのです。これらのリスクを押さえながらノンリコース化することそれが私どもの方式です。
 私どもの提案する方式は人的担保を一部残したノンリコースなのです。従ってモゲージローンではありません。
現行の住宅ローンの保証は矛盾に満ちています。最近は保証料をゼロとするローンもありますが、この低金利時代 にデフォルトリスクを金利に織り込むことなど容易ではありません。私どもはいずれローン破綻を起すのは金融機関 だと見ています。消費者にとっても現行のローンは容認できません。金融機関がそれでも現行のローンにこだわるならば、 いずれ、消費者契約法上の問題だとか、独占禁止法の「(金融機関の)優越的立場による(消費者に)不平等な契約」等問題は 大きくなるでしょう。 むしろ、現行のリコースローンとノンリコースローンとを並べることにより、消費者に選択権を与えることが大事ではないでしょうか。

経済的理由による自殺者の増加


平成19年警察庁自殺統計によりますと、平成10年から自殺者は急増しています。原因のトップが健康問題、ついで経済的理由によるものです。表向きは 健康問題としても実際には経済的理由であるケースを含めると経済的理由による自殺が圧倒的なのです。しかも50歳代が際立って多いのです。この中には住宅ローンに 絡むものが相当にあると推察されます。
 住宅ローンが返済できなくなり半年経過しますと、保証会社から債務残高が代位弁済として銀行に支払われます。この時、 ローン債権は保証会社に移転し、保証会社は債権回収に入ります。担保の住宅を売却処分しますが、通常売却損が発生します。今のローン、つまりリコースローンでは この不足分を債務者が支払わなくてはなりません。保証会社または債権を譲受けたサービサー会社はその不足分を督促します。文書や電話等による督促です。大抵の 債務者はこの督促で精神的なダメージを受けます。場合によっては高利の資金に走ることになり、挙句の果ては悲惨な結果となります。
善意のローン債務者がローン 保証料を支払ったのにです。如何に契約とはいえ不公正な、理不尽な契約です。日本の住宅ローン制度は消費者のためになっていないのです。
今日、金融庁は 金融機関に対して消費者第一を指導しているにも拘らずです。

私共は日本で初めて非収益型のノンリコースローン保証を開発しました

  1. 不良債権の発生は予想外の地価下落にその原因があります。そして今、多くのローン破綻者が発生しています。これは現行のリコースローン制度によるものです。アメリカ等では担保以上に債務を追求しないノンリコースローンが定着しています。右肩上がりの地価上昇が期待できない今、債権者にも債務者にもメリットのあるこの制度の普及が必要です。住宅の取得に対して、危険なローンを払ってまではという躊躇の雰囲気が拡がりはじめていますが、ノンリコースローンならそういった心配は不要になります。従って住宅市場の活性化に繋がります。
  2. ノンリコースローンは債務者つまりユーザーの為、消費者の為であることです。これまでのユーザーは保証料を払ったにもかかわらず、ユーザーが破綻したときには更に不足分を徴求されることになり、保証は銀行の為にはなってもユーザーの為になっていません。
    これからの信用保証商品はユーザーの為でなければ意味がありません。
  3. わたくしどもはこうしたこれまでの住宅ローン制度を是正すべく、あらたな住宅型ノンリコースローン開発にたづさわってきました。

新しい保証会社はこういう会社でなければなりません

  1. 顧客のために
     これまでの保証会社は顧客のために保証をするのでなく、金融機関に対して保証をするもので、万が一支払不能に陥った顧客に対しては担保を取り上げた上に不足分を厳しく取り立てる会社でした。
    しかし、これからの保証会社は支払不能で担保割れによる不足が出ても顧客から取立てをするべきではありません。
    先年発表された「金融再生プログラム」ではその目的として「国民のための金融行政」が最初に謳われております。
    「金融行政が護るべき対象は、預金者、投資家及び借り手の企業や個人など国民であることを確認する。」とあります。
    「顧客のため」21世紀のフレーズです。
  2. デファクトスタンダードに
     金融機関のための保証会社でなく、顧客のための保証会社は、いずれ業界標準になります。欧米ではすでに標準になっています。
  3. 住宅産業を活性化するために
     不動産の値下がりが続く時代でなお且つ景気の先行きが不透明の今日、安心してローンを組めません。万が一支払不能になったときに、担保割れでの追徴金の発生がローン地獄を招くからです。しかし、新しい保証制度は追徴金の心配がありませんから、安心してローンを組むことができます。今日の史上最低の金利とあいまって住宅産業は活性化します。
  4. 保証会社は情報開示を大事にすべき
     保証会社はローンの利用者が万が一のとき金融機関に対して保証をするために、長期にわたって利用者から預かった保証料を保全しなければなりません。保険会社で言う責任準備金(責準)の積立義務です。これまでの保証会社は非上場の会社が多く責準がどのように積み立てられているか分かりません。従って安心して保証を任せることに不安をもたれることになります。
    これからの保証会社はどのような算式基準により、どのような形で保全されているかを明らかにしなければなりません。   
  5. 金融商品取引法への対応
     2006年会社法が施行され、内部統制の構築が義務付けられました。翌2007年には金融商品取引法が成立し、上場会社において財務報告に係る信頼性の確保が規定されました。保証会社は上場しておりませんが、上場金融機関の保証先、リスクの外部移転を担うものとして、上場会社と同様の対応が必要となりました。